“白亜の主塔、涅槃仏、2つの仏足跡、5人の王の記念碑、スリランカ布教を描いた壁画、ドラマ『Love Destiny 2』のロケ地”
パータイサワン寺院(Wat Phutthaisawan)は、チャオプラヤー川の西岸に位置する、歴史的価値の高い古代寺院です。1353年、アユタヤ王朝の初代国王ラーマーティボーディー1世(ウートン王)によって創建されました。この地は、アユタヤを首都として建国する前に、王が仮の王宮を置いていた場所であり、王朝の記念的寺院として建立されました。
寺院の中心には、1352年に建てられた白亜のクメール様式の大プラーン(仏塔)がそびえ立ち、アユタヤで最初に建てられたクメール式仏塔と考えられています。この大プラーンは高い基壇上にあり、東西の両側に階段が設けられています。塔内には、涅槃仏像や2つの仏足跡が安置されており、周囲の回廊には様々な姿勢の仏像が並びます。
さらに、18世紀中頃に描かれた貴重な壁画があり、1753年および1755年にスリランカへ赴いたタイ僧の布教の旅が描かれています。また、寺院内には5人の王の記念碑もあり、国と仏教に多大な貢献をした王たちを讃えています。
1767年のアユタヤ陥落時には焼失を免れましたが、大量の財宝が略奪され、タクシン王の新首都建設や軍資金の調達に使われました。中でもこの寺からは3隻の大船に積まれるほどの金銀が運び出されたと記録されています。後にラーマ5世(チュラーロンコーン大王)の命により大規模な修復が行われ、現在もタイ芸術局によって保存・整備が続けられています。
現代文化とのつながり:「Love Destiny 2(ブッペーサンニワート2)」の舞台として登場
パータイサワン寺院は、人気歴史ドラマ『ブッペーサンニワート2(Love Destiny II)』に登場し、再び注目を集めました。物語では、アユタヤ後期の武術・呪術の修行場として登場し、クンルアン・タイサやその弟子であるムーン・スントーンテーワー、ムーン・ルアンラチャパクディーらがここで稽古をする場面が描かれています。
特に第25話のランタンフェスティバルの夜景は非常に美しく、視聴者の印象に残るシーンとなっており、多くのファンがこの寺院を訪れて「ロケ地巡り」を楽しんでいます。
行き方
-
車でバンコクから向かう場合は、国道1号線(パホンヨーティン通り)を北上し、国道32号線へ進んだ後、国道309号線を経由してアユタヤ市内へ。プリーディー橋を渡り旧市街に入り、市役所前で左折。病院前を右折し、シリヤライ宮殿を通過後、カサッタリット寺院橋を左折して渡る。橋を下りたら左折し、ワット・チャイワッタナラーム方面へ。さらに約2キロメートル進み、イスラム寺院とセント・ジョセフ教会を通過し、約700メートル先に看板が見える。
-
国鉄(タイ国鉄)を利用する場合は、バンコクのフアランポーン駅またはクルンテープ・アピワット駅(旧バーンスー駅)からアユタヤ行きの列車に乗車。アユタヤ駅からはトゥクトゥクまたはソンテウで寺院まで約15分。
-
旧市街から渡し船を利用する場合は、アユタヤ病院の対岸にある船着場から渡船でチャオプラヤー川を渡り、西岸に到着後徒歩で数分。
旅行のヒント
-
朝または夕方に訪れると暑さを避けやすい
-
日差しが強いので帽子や日傘を持参すると便利
-
仏像や建築物の写真撮影スポットが多数ある
-
ドラマのロケ地巡りとして訪れる観光客が多い
-
寺院内は露出の少ない服装を推奨
入場料:無料