“大仏殿は世界最大級の木造建築であり、日本最大の大仏を安置する東大寺は、奈良市内の他7件の寺社・史跡とともにユネスコ世界文化遺産に登録されています。”
東大寺 (Todai-ji)は、天平時代、度重なる自然災害や疫病により多くの人々が苦しんでいた時代背景の中で建立されました。天平15年(743年)、聖武天皇は「国家安泰」と「万民救済」を願い、人々が力を合わせて大仏を造立することを宣言しました。仏の力によって災厄を鎮め、国を守ろうとしたのです。
寺に残る記録によると、大仏とその堂の建立には 260万人以上 が関わったとされています。当初、大仏鋳造は近江国・紫香楽宮(しがらき) で始まりましたが、火災や地震による甚大な被害が発生したため、天平17年(745年) に奈良へ移されました。そして 天平勝宝4年(752年)、ついに大仏は完成します。
翌年には盛大な 開眼供養 が行われ、インド僧 菩提僊那(ボダイセンナ/Bodai-senna) が導師を務め、約1万人が参列したと伝えられています。その後、東大寺は大和国の国分寺となり、全国の国分寺を統括する中心寺院としての地位を確立しました。
創建から 1200年以上 の歴史を持つ東大寺は、日本の宗教・政治・文化と深く結びついた存在です。「東大寺」という名称は 天平19年(747年) の史料に正式に登場し、国家事業として建立された寺院であることを示しています。
境内の中心である 大仏殿 は、現存する建物は 1709年 に再建されたもので、創建当時より約30%小さいものの、現在でも世界最大級の木造建築です。堂内には、高さ約 15メートル の 盧舎那仏(奈良の大仏) が安置され、日本最大の青銅仏として知られています。
大仏の背後には、鼻の穴と同じ大きさとされる穴の開いた 柱 があり、ここをくぐると来世で悟りを得られるという言い伝えがあります。また、大仏殿前には赤く塗られた木彫の 賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)像 が安置されており、患部に対応する部分をなでることで病気平癒を願う、庶民信仰の象徴として親しまれています。
東大寺は 奈良公園 内に位置し、神の使いとされる鹿が自由に歩く風景も、この寺院ならではの魅力です。
行き方
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JR奈良駅から:市内バスで「東大寺大仏殿」下車(約10~15分)
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近鉄奈良駅から:奈良公園を通って徒歩約20分
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徒歩:興福寺など奈良市内主要観光地からアクセス良好
旅行のヒント
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朝早い時間帯の参拝がおすすめ
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鹿に紙袋や地図を取られないよう注意
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大仏殿内は撮影可能だがフラッシュ禁止
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奈良公園散策の時間を多めに確保すると良い
入場料:
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大仏殿拝観料:大人 約600円
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子ども・団体割引あり
開館時間:
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4月~10月:8:00~17:00
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11月~3月:8:00~16:30
(最終入場は閉館30分前)