“ニランジャナー川近くの田園地帯に立つ、逆さ鉢型の煉瓦造りのストゥーパ。これは、ブッダの悟り以前のスジャータによる乳粥供養という極めて重要な出来事に関連する歴史的証拠となっています。”
スジャータ・ストゥーパ(Sujata Stupa)、別名スジャータ・クティは、ブッダガヤの主要寺院群の外、ニランジャナー川を挟んだバクラウル村に位置しています。マハボディ寺院からはおよそ2〜3キロメートル離れています。この地域は、ブッダの悟り以前の出来事に直接関係しているため、ブッダガヤの最も重要な「仏教史的景観」の一つと見なされています。
地域の景観と概要
この地域はニランジャナー川沿いの平野で、水田と伝統的なインドの田舎の村々に囲まれています。ストゥーパは開けた場所に堂々と立っており、遠くからでもはっきりと見えます。全体的な雰囲気は、賑やかなブッダガヤの寺院群とは異なり、より静かで平和で、自然を感じさせます。
ストゥーパの構造と考古学的証拠
現在見られるのは、大きな逆さ鉢型の煉瓦造りのストゥーパ(ドーム型ストゥーパ)です。主な特徴は以下の通りです。
- 大きな円形ストゥーパ基部
- 古代の焼成煉瓦構造
- 異なる時代の煉瓦が何層にも重ねられている
- 歴史的な土の堆積の痕跡が確認できる
インド考古調査局(ASI)の調査に基づくと、このストゥーパはブッダの時代から継続的に発展し、ジャムブドヴィーパ(インド亜大陸)全域で重要なストゥーパの建設と修復に重要な役割を果たしたアショーカ大王の治世中に大幅に修復されたと考えられています。
仏教史における意義(この場所の本質)
この場所は、仏教史上最も重要な出来事の一つであるスジャータによる乳粥供養と関連しています。
この出来事は、菩薩が苦行(atta-kilamathanuyoga)から中道(Majjhimapatipada)の道へと向かう「思想の転換点」となった、深遠な精神的意義を持っています。この中道は後にすべての仏教教義の基盤となりました。
スジャータの詳しい物語
スジャータは、ウルベーラ地方セーナーニガーマ村の裕福な商人、セーニヤクタンピーの娘でした。彼女は若くして、自宅近くの大きなガジュマルの木に宿る「樹神」に、二つの願いを叶えてほしいと誓いました。
- 地位と血統の等しい夫を持つこと
- 初となる息子を授かること
願いが叶い、彼女は後に仏教史において重要な人物となる「ヤサ」という息子を出産しました。
ガジュマルの木の下での出来事(二つの人生の交差)
供養の儀式のため、彼女は神に捧げる乳粥(甘い乳粥49個)を用意しました。その時、極端な苦行を捨てたばかりのシッダッタ太子(菩薩)が、まさにそのガジュマルの木の下に座っていました。その時、彼は、
- 断食により体が衰弱していた
- しかし、心は揺るがず、深く穏やかだった
- 深い瞑想に近い状態にあった
彼を見た女中が彼を「樹神」と間違え、スジャータに報告に戻りました。
乳粥の供養
スジャータが到着し、菩薩の姿を見たとき、彼女は深い信仰を抱き、彼を自分が崇拝しようとしていた樹神であると信じました。
そして、彼女は最大限の敬意をもって、乳粥を黄金の鉢に入れて捧げました。
この出来事は単なる食物の供養ではなく、菩薩にとっての「精神的な転換点」となりました。
仏教にとっての極めて重要な転換点
乳粥を受け取った後、菩薩は熟考し、極端な苦行は悟りへの道ではないと悟りました。これが
「中道(Majjhimapatipada)」という概念の始まりでした。
スジャータ・クティからの道
この出来事の後、彼はニランジャナー川を渡ってブッダガヤ側へ行き、菩提樹の下に座り、高度な精神修行を始め、最終的に正等覚者(完全に悟りを開いた者)として悟りを開きました。
今日のこの場所の意義
2500年以上経った今でも、この地域は「仏教史の中心地」であり続けています。訪問者は以下を体験できます。
- インドの田舎の素朴さ
- 水田の中に残る古代遺跡
- 主要寺院とは異なる、穏やかな静けさ
- 悟り以前の出来事への繋がりを感じられる
訪問者への主要なメッセージ
スジャータ・ストゥーパは単なる古代遺跡ではなく、仏教の核心である中道の概念につながる「深遠な変革の出発点」なのです。
行き方
- マハボディ寺院から出発 → オートリキシャに乗車 → 運転手に「スジャータ・ストゥーパ / バクラウル」と伝える → ニランジャナー川を渡る → バクラウル村に入る → ストゥーパまで少し歩く。所要時間は10~15分です。
旅行のヒント
- 気候が良い午前6時~9時に訪れるのがおすすめです。
- 地面が土で田んぼの中を通るため、歩きやすい靴を着用してください。
- 飲料水と日焼け対策を忘れずに。
- 聖地にふさわしい慎ましい服装を心がけてください。
- 身の回り品に注意し、見知らぬ人からの物品販売には応じないでください。
入場料:
- 入場無料
- 特定の期間には少額の駐車料金がかかる場合があります。
開館時間:
- 毎日 午前6時~午後6時