キルケニー城 (Kilkenny Castle)はアイルランドのキルケニー市の中心に堂々とそびえ、「キルケニーの王冠の宝石」と称されています。その起源は12世紀にさかのぼり、1173年頃、ノルマン人征服者リチャード・ド・クレア（ストロングボウ）が最初の木造要塞を築いたのが始まりです。

その後、初代ペンブルック伯ウィリアム・マーシャルが1260年に石造りの城を完成させ、ノア川の渡し場を守る重要な防衛拠点となりました。

1391年、この城はアイルランドの有力貴族バトラー家（Butler Family）の所有となり、約600年もの間、一族の本拠地として栄えました。19世紀にはヴィクトリア様式の改修が行われ、中世の威厳と貴族の優雅さが融合した姿となりました。

1969年、バトラー家は城をアイルランド政府に売却し、以後、修復工事が進められ、現在は国有の文化遺産として一般公開されています。

内部と外部の見どころ:

城内には、豪華な装飾が施された部屋が数多くあり、国賓用ダイニングルーム、応接室、そして有名なロングギャラリー（Long Gallery）などが公開されています。天井や壁の漆喰装飾、豪華な絨毯、アンティーク家具などが、往時のバトラー家の生活を今に伝えます。

19世紀に建てられた**ピクチャーギャラリー（Picture Gallery）**には、画家ピーター・ポール・ルーベンスのデザインによる《デキウス・ムス》のタペストリーが展示されています。また、**チャイニーズ・ウィズドローイングルーム（Chinese Withdrawing Room）**では、繊細な手描きの中国風壁紙が見どころです。

城の外には約50エーカーに及ぶ広大な公園が広がり、人工湖、バラのテラスガーデン、樹齢を重ねた木々に囲まれた遊歩道などがあります。庭園は無料で一般開放されており、春から夏にかけては花々が咲き誇り、散策や写真撮影に最適です。

メディーバルマイル:

キルケニー城は、キルケニーの歴史的名所を結ぶ有名な「メディーバルマイル」の中心的存在です。この文化ルートには、セント・カニス大聖堂（St. Canice’s Cathedral）やロス邸（Rothe House）などが含まれ、中世の街並みを歩きながら歴史と文化を感じることができます。

列車

• ダブリン・ヒューストン駅（Dublin Heuston）からキルケニー・マクドナ駅（Kilkenny MacDonagh Station）まで直通列車が運行しており、所要時間は約 1時間30分。駅から城までは徒歩 10〜15分 ほどです。

長距離バス

• Bus Éireann、JJ Kavanagh & Sons、Dublin Coach などのバス会社が、ダブリンからキルケニー行きの直通便を運行しています。所要時間は約 2時間。市内中心部で下車し、徒歩 10分以内 で城に到着します。

車

• ダブリンからは M9高速道路 を利用し、キルケニーまで約 130km、所要時間はおよそ 1時間30分。市街地に入ると「The Parade」方面の案内標識があり、城のすぐ近くに公共駐車場があります。

徒歩

• キルケニー市中心部に滞在している場合、主要ホテルやレストラン街から城までは徒歩 5〜10分。観光途中に気軽に立ち寄れます。

• 午前中に訪れると、静かな雰囲気の中で庭園をゆっくり散策できます。

• ガイド付きツアーへの参加がおすすめ。城の歴史や建築背景を深く学べます。

• ノア川の対岸から眺める城の全景は、最高の撮影スポットです。

• メディーバルマイルの散策と組み合わせると、キルケニーの歴史がより楽しめます。

• 春から夏にかけて訪れると、花が咲き誇る庭園の美しさを堪能できます。

入場料：

• 城の庭園と公園は無料で入場可能。城内部の見学にはチケットが必要で、自由見学とガイドツアーの2種類があります。料金は季節や年齢区分によって異なります。

開館時間：

• 年間を通して開館。一般的な開館時間は 午前9時30分〜午後5時30分（最終入場は午後5時頃）。祝日や特別イベント開催時は営業時間が変更される場合があります。